浴室のカビ対策、どうしていますか? 換気扇を24時間つけっぱなしにしておくのは「電気代がかかるから」と、窓や浴室のドアを開け放したり、お風呂からあがってしばらくの間だけつけていたりしていないでしょうか。実は全部NG。カビ対策としていちばん効果的なのは、24時間ずっと換気扇を回し続けることです。その理由と、決して無視できない電気代について解説していきます。
浴室の換気扇をつけっぱなしにする3つのメリット
①カビの発生や繁殖の抑制
カビが発生しやすいのは、温度が20度~30度、湿度が60%以上の場合。お風呂場はこの条件を満たすため、家の中で最もカビに悩まされる場所となります。しかし、浴室換気扇を使えば温度と湿度が下がり、さらに24時間稼働させることで、カビが発生しにくい状態を保ちます。途中で切ってしまうと、その状態をキープできなくなるためNG。つけっぱなしにしておくのが基本です。
②ニオイの除去
換気させて温度と湿度を下げてはいても、排水溝には湿気が残ってしまいます。それでも、中と外の空気を循環させていれば、石けんカスや排水溝の髪の毛などから出るニオイを排出してくれます。換気扇を稼働させ続けて悪臭の充満を防げば、翌日も気持ち良く浴室を使えますね。
③湿気が他の部屋に逃げるのを抑制
カビ対策に有効なのは、浴室全体の空気を循環させ続けること。お風呂場の換気が行き届いていれば、そこから脱衣所などに湿気がいってしまうのを抑えられます。
浴室のドアや窓を開けておくのはNG
換気扇をつけずに浴室のドアを開けておくと、脱衣所の湿度が上昇。また、窓を開けても浴室全体の空気を循環させることはできず、特に寒い季節は、急激な浴室温度の低下で結露が発生してしまいます。
換気扇を稼働させながら開けておけばよいのかと言うと、それも間違い。ドアや窓から入ってくる空気は、換気扇から排出される空気の量よりも多いため、換気扇の近くとドアや窓の近くとでは別の対流ができます。その結果、換気扇から遠いところには、排出されない湿った空気が長くとどまってしまうのです。
浴室換気扇の効果的な使い方は「換気扇をつけてドアと窓は閉めておく」です。
給気口はドアの下部にあり
ドアと窓を閉めて換気扇を回す場合、排出は換気扇からできても、取り込む空気はどこから入るのか気になりますね。通常、お風呂のドアには下部に通気口がついていて、ここから空気を取り込む仕組みになっています。ドア自体を開けてしまうと大量の空気が流れ込んでしまいますが、通気口から少しずつ空気を取り込むことで、換気扇を使った空気の循環がうまくできるようになっているのです。
24時間換気の電気代は?
浴室換気扇は消費電力が小さい
換気扇をつけっぱなしにすることで気になるのは電気代。稼働音がするため、消費電力が高いように思われるかもしれませんが、浴室の標準換気扇の場合は高くても20W程度で、24時間換気システムだと15W程度。省エネ度が高いものはさらに低くなります。
ただし、電気料金は消費電力のほかに電力会社や居住地によっても異なります。ここで算出する金額は、あくまで目安としてお考えください。
1か月の電気料金目安
20W(標準換気)と15W(24時間換気システム)で、それぞれ24時間稼働させた場合の目安です。
【消費電力】
20W×24時間×30日=14,400Wh (14.4kWh)
15W×24時間×30日=10,800Wh (10.8kWh)
ここから1か月にかかる電気代を、関東地方で東京電力を利用した場合(1kWh当たり40円※)で計算してみます。
※40円という金額は、2023年1月時点で東京電力が示している「120kWhをこえ300kWhまでの料金:39円45銭」が基準。
【電気料金】
20Wの場合:14.4kWh×40円=576円
15Wの場合:10.8kWh×40円=432円
つまり、500円前後が目安となります。
カビ掃除の手間軽減でむしろお得
浴室の換気扇を24時間つけっぱなしにしたとしても、それだけでカビの発生をゼロに抑えることは、残念ながらできません。それでも、1か月500円前後の電気代で湿気が大幅に軽減され、カビ掃除の頻度も減らせると考えれば、手軽でリーズナブルなカビ・湿気対策だと言えますね。
月500円程度でお風呂が綺麗になるなら、やらない手はないですわね♪
お風呂掃除には水とお湯、どちらが良い?
専門家でも意見が分かれる
カビ対策のひとつとして、カビのエサとなる石けんカスなどをシャワーで洗い流す方もいるでしょう。そのとき、水とお湯のどちらを使うのが良いと思いますか? 実はどちらも一長一短で、掃除のプロに聞いても意見が分かれます。
【水が良い理由】
浴室内の温度を下げられるため。温度が高いとカビが発生・繁殖しやすくなる。
【お湯が良い理由】
水分が蒸発しやすくなるため。水だと蒸発に時間がかかり、湿度の高い状態が長く続く。
これではどちらが良いのか悩んでしまいますね。しかし、これをどちらでも良い状況にしてくれるのが「換気扇を24時間つけっぱなしにすること」なのです。
結論は「換気をしっかりすればどちらでも良い」
プロの意見としてもうひとつ挙がるのが「大事なのは水かお湯かではなく、水気を残さないこと」。最後にお風呂に入った人が浴室の水滴を丁寧に拭き取っておけば、カビの発生や繁殖はかなり抑えられます。ただ、日常的に行うとなると面倒なのも事実。しかし、浴室換気扇を常時稼働させておくことで温度と湿度は下がり、空気を循環させて壁や床の水分の蒸発も促してくれるのです。
まとめ
私たちは「電気を使っているものは、こまめに切ると省エネになる」と教えられてきました。お風呂の換気扇を使わない、あるいは使っても短時間にとどめてしまうのは、「省エネ=電気代の節約」と思っているからでしょう。しかし、お風呂場の換気扇をつけっぱなしにしておくのは、「誰もいない部屋の電気」や「誰も見ていないテレビ」とは違い、電気の無駄遣いではありません。むしろ24時間稼働させることで、効力をより発揮してくれます。電気の節約だけが省エネなのではなく、「手間」という人のエネルギーを軽減させることも、立派な省エネ。カビ掃除の手間を軽くしてくれる浴室換気扇は、大いに活用したいですね。
換気を万全にして、清潔なお風呂をキープいたしましょう!もし黒カビが発生してしまったら、黒カビの落とし方の記事も参考にしてくださいね。