「家事」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?料理や洗濯、掃除といった、誰もがイメージする「名前のある家事」でしょうか。でも、実は私たちが毎日行っている家事の中には、名前がついていない「名もなき家事」がたくさんあるのです。
例えば「ゴミを捨てた後に袋をセットする」「裏返しの洗濯物をひっくり返す」など・・・女性なら激しくうなずいてしまうものばかり!一つ一つは些細なことでも、積み重なると家事の負担を増やし、ストレスの原因にもなります。
この記事では、そんな「名もなき家事」の具体的な例と、それを減らすための対策をご紹介します。筆者の家庭でも実践し、負担を減らした実績済みの対処法となりますので、ぜひ参考にしてみてください。
名もなき家事とは?
「名もなき家事」とは、料理や洗濯、掃除と同じくらい重要なのに、名前がつかず影の存在である家事のことを言います。例えば、トイレットペーパーの交換、ゴミの分別などは、「誰かがやらないと快適に生活できない」ものですが、その存在があまりにも当たり前すぎて、名前がついていません。この「見えない家事」というべきものが、家事の負担を増やしているのです。
妻と夫で「家事」への認識が違う?
「名もなき家事」の存在は、2017年に大和ハウス工業による「共働き夫婦の「家事」に関する意識調査」で明らかになりました。
調査では、共働きの夫婦に家事負担の割合を聞いたところ、妻の認識では、「夫1割:妻9割」がトップなのに対し、夫の認識では「夫3割:妻7割」がトップという結果に。この2割の差を探ったところ、妻が日常的に頑張っているにもかかわらず、夫が家事だと認識していない「名もなき家事」の存在が明らかになったわけです。
妻が頑張っているのに、夫は家事だと思っていないなんて、腹立たしいですわ!
名もなき家事リスト30項目一覧
調査結果で明らかになった「名もなき家事リスト30項目」の一覧はこちら。
- たまったゴミを捨てる
- アイロンがけをする
- 食事の献立を考える
- ベッドや布団を整える
- 飲みっぱなしのグラスを片付ける
- 調味料を補充・交換する
- ゴミを分類する
- 食べ残しの食品を冷蔵庫にしまう
- 食事の前に食卓を拭く
- トイレットペーパーがなくなったときに、買いに行く
- 手洗い場のタオルを取り換える
- 新聞・雑誌などをまとめて捨てる
- 脱ぎっぱなしの服をクローゼットやタンスにしまう
- クリーニングに出す、取りに行く
- 玄関の靴をそろえる
- 靴を磨く
- 町内やマンションの会合に出席する
- 郵便物をチェックする
- 子どもの食事を手伝う
- 子どもの送迎
- 子どもの学校準備、勉強を見る
- ペット、植物の世話
- 使い切ったティッシュの交換
- 古くなった照明の交換
- ポストに入っていた不要なチラシの処分
- 朝カーテンを開け、夜カーテンを閉める
- 子どもとの会話
- 家電製品の選定・購入・設置
- 朝刊、夕刊を取りに行く
- 使った道具を元に戻す
いかがですか?日々の家事を担当する女性だったら、「あ~!これこれ!」と激しく共感してしまうことばかり!どれもメインの家事に、まるで金魚のフンのようについてくるものだったり、当たり前すぎて「家事をしている」という感覚すらなかったりするものもありました。
名もなき家事はくだらない?
「名もなき家事」について調べていると、「名もなき家事なんてくだらない、大げさだ」という意見が少なからず見られました。その主張は「名もなき家事」自体は、一つ一つ短時間で終わる、誰もができる簡単な作業なのだから、わざわざクローズアップする必要がないというものです。
このような考えの人は、家事の価値を理解していなかったり、一つ一つは小さな家事でも、積み重なると大きな負担になることを理解していなかったりする場合が多いようです。また、すでに「名もなき家事」自体が、「やってもらうのが当たり前」となっていることが多く、それが実は家事担当者の負担になっていることに気が付いていないケースも考えられます。
しかし、「名もなき家事なんてくだらない、大げさだ」と放置しておくと、不満やイライラの原因となり、夫婦間でコミュニケーションが進まずに信頼関係が崩れ、ひいては離婚の要因に発展する可能性もあります。
もちろん、「名もなき家事」の負担を放置しておいても、必ずしも夫婦関係が悪化するわけではありません。しかし、不満やイライラを抱え続けることで、夫婦関係に悪影響を及ぼす可能性は十分にあります。そのため、「名もなき家事」が負担であることを放置せず、双方が納得できる解決策を見つけることが大切です。
小さな不満も、積み重なると恐ろしくってよ!
名もなき家事の負担を減らす効果的な方法
それでは、「名もなき家事」は、どうしたら減らすことができるのでしょうか?筆者の家庭ではこのようにして「名もなき家事」を大幅減少させました。ぜひ参考にしてみてください。
まずは「名もなき家事」を見える化しよう
「名もなき家事リスト30」を参考に、「わが家の名もなき家事リスト」を作ってみましょう。名もなき家事は、自分でも意識せずにやってしまっていることも多いため、気が付きにくいのが難点です。そこで、思い浮かばないという時は、「名もなき家事TOP10ランキング」にリアルな口コミが集まっているので参考にしてみましょう。
わが家の場合は、「名もなき家事リスト30」から、自分が負担ではないものを削除し、代わりに負担だった「麦茶を作る」「氷の給水をする」の2項目を新たに加えました。
家族に「名もなき家事」を意識させよう
作った「わが家の名もなき家事リスト」を使い、パートナーと一緒に「それが家事と思うか」をチェックしてみましょう。「名もなき家事」の存在を知らないパートナーの場合は、「言われてみれば、確かにこれも家事だね!」と驚き、その負担を知るきっかけになります。この時点で「この項目を担当してもらえると助かるけど、どうかな?」とお願いしてみるのもいいですね。
わが家の場合は「町内やマンションの会合に出席する」が”刺さった”ようで、「今までごめん。これからは担当するよ」とお言葉をいただきました。
「名もなき家事」を省略しよう
「わが家の名もなき家事リスト」の中から、省略するもの・家族が各自でできるものを探します。例えば、わが家は「麦茶を作る」「氷の給水をする」を省略することにしました。
- 麦茶を作る→作らない。水を飲んでもらう
- 氷の給水をする→給水しない。氷が欲しい人が自分で作る
また、「ベッドや布団を整える」「飲みっぱなしのグラスを片付ける」「玄関の靴をそろえる」などは、家族メンバー各自が気をつければ省略できる家事として、家族に「自分のものは自分で整える」ことを徹底してもらうことにしました。
初めは家事の「省略」に不満が出てくることは想定内としておきましょう。我が家も麦茶を作らなくなった時は、さすがに文句が出ましたが、家族もそのうち慣れてきます。問題ないことは、思い切って省略してしまいましょう。
「名もなき家事」を分担しよう
「名もなき家事」は一つ一つが短い簡単な作業が多いので、実は子どものお手伝いにもピッタリです!わが家も、「食べ残しの食品を冷蔵庫にしまう」「食事の前後に食卓を拭く」は、子どもたちのお手伝いとして設定しました。
こども達へ「名もなき家事」を説明する時は、大和ハウス工業の「名もなき家事妖怪」のホームページを活用すると便利です。おもちゃを出しっぱなしにすると出てくる「オモチャダシッパ」や、食べ残しを放置すると出てくる「タベノコシソノママ」など、色々な「名もなき家事」が妖怪として登場し、楽しく「名もなき家事」を知ることができます。
「自分のものは自分で整える」が出来ていない時も、「あれ?フクヌギッパが出てきているよ!?」などと声をかけてあげると、すぐに拾いに来てくれますし、臨機応変に新しい妖怪を生み出して声掛けをするなど、楽しく分担を定着させることができます。
名もなき家事を外注化しよう
ここまで取り組んでも残ってしまった、まさに妖怪級の負担の大きい「名もなき家事」は、思い切って家事代行サービスを利用するも手です。そもそもパートナーが「名もなき家事なんてくだらない、大げさだ」と考えているようなら、子どもの自立のための項目(自分のことは自分でする・お手伝いをする)を残して、あとは家事代行にお願いしてしまいましょう。
子どもの前でイライラと夫婦喧嘩を繰り広げるよりも、家事の負担をお金で解決してしまった方が、円満に生活することができますよ。
まとめ
一つ一つは小さくて、すぐに終わってしまうものですが、誰かがやらないと快適に生活できない家事、それが「名もなき家事」です。「名もなき家事リスト30」を確認するとわかるように、実は私たちが毎日当たり前のように行っている家事の中には、そんな「名もなき家事」がたくさんあるのです。
そして、それは塵も積もれば山となるのごとく、あなたの家事負担を着実に圧迫し、ひいては夫婦の不和にまで発展するケースもあります。
まずは、「名もなき家事」を意識し、「省略・分担・外注化」を検討してみてください。家事の負担が減り、趣味や家族と楽しく過ごす時間が増えることで、快適で幸せな生活の第一歩をふみ出すことができますよ。