新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大と共に広がったテレワーク。おうち時間が増えると同時に増加したのが家事です。「夫婦で家事を分担して」「男性も率先して家事を」なんて話も聞こえてきますが、本当にそうでしょうか?この記事では、男性の家事参加率について、他国や男女で比較した調査結果を考察していきたいと思います。
日本人男性の家事参加率は女性の5分の1以下!
世界的に見ても女性の家事労働の時間は男性よりも長い傾向にありますが、OECDが加盟国を中心にまとめた2015年のレポートによると、男性の職場労働時間が長い日本では女性が男性の5.5倍もの家事を1日の間に行っています。
日本人女性が睡眠や食事に費やせる、プライベートな時間は比較対象となった32か国中最下位であり、日本人男性の家事参加率の低さが浮き彫りになっています。
出典:2015年OECDのその他の国 男性と女性の家事労働と仕事
男性が家事をしなくても許される国、日本
なぜ男性は家事をしないのでしょうか。大きな理由の一つとして考えられるのは“性別役割分担意識”=ジェンダ―ギャップです。
2022年のジェンダーギャップ指数が146か国中116位と、先進国では圧倒的な最下位、アジア諸国と比較してもさらに低い日本では、「家事は女性がするもの」と考える昭和型の価値観を持った男性や、女性すらも多く残っており、男性が家事をしなくても「当たり前」と許される雰囲気があります。これが男性の家事参加率を下げる、主要因になっているのではないでしょうか。
散らかった部屋を男女別に見せる調査では、「散らかっている」と感じる度合いは男女同じレベルであるという結果が出ているにもかかわらず、男性が掃除をする割合は低くなっています。これは「男性は部屋が散らかっていることを認識しないのではないか?」という仮説に基づいて行われた調査ですが、同じレベルで掃除の必要性を感じていながら「自分が掃除をする必要はない」と感じる、男性の無意識を表す結果となっています。この調査はジェンダーギャップ指数の低くないアメリカで行われているだけに、「女性=家事」という刷り込みを払拭し、男性の家事参加率を上げるのがいかに難しかを物語っています。
男性の家事ヤランヌは許されなくてよ!!
世界と比べる男女別家事参加率
日本男性も世界最低レベルの家事メン⁉
2016年内閣府男女共同参画局の調査によると、男性の家事参加時間は83分。これは世界最下位レベルの家事参加率です。調査を行った32か国中最下位であり、性暴力や、女性器切除が未だに行われるインドやトルコをも下回っている数字と知れば、驚愕する方も多いのではないでしょうか。2020年の調査では、男性の家事参加率は上がるどころかさらに減少してしまいます。
内閣府の作成した同資料には、都道府県別で男性の家事参加時間が記載されていますが、家事をよくするのは東京都、同率最下位は和歌山県・岡山県・茨木県となっています。中でも和歌山県では9割の男性が家事をしていないという衝撃の結果が公表されています。
増加する日本人女性の家事負担
世界と比較しても家事の参加率が低い日本人男性ですが、コロナ禍により「おうち時間」が増加したことによって、さらに女性の家事労働に費やす時間だけが増えているというデータが数多く出ており、ますます男女間の家事実施時間に開きが出ています。
東京都が公開した「令和3年度男性の家事・育児参画状況実態調査」によると、男性が家事に費やす時間は全く変わっていないにもかかわらず、女性の家事労働時間は増加し、1週間で男女が家事労働に充てる時間の開きは約6%増加し、5時間20分となりました。テレワークによって自由に使える時間が増加した男性は訳半数と、女性の3割を大きく上回っているにもかかわらずです。
これでは「大きな子どもが一人増えただけ」「余計な家事が増えてイライラが止まらない」といった声が溢れるのも仕方がありませんよね。
男性の家事参加率は18%
平均して日本人男性は、1日当たり日本人女性の5分の1以下しか家事を行っていません。これは先進国では最下位、その他のアジア諸国や中東の一部と比べてもかなり低い数字で、ジェンダーギャップ指数と比例しています。「家事は女性の仕事」と刷り込まれた男性だけでなく女性も多いため、男性が家事をしなくても許される雰囲気が残っていますが、日本で家事が女性(≒専業主婦)の仕事になったのは1950年代以降、つい最近のことです。それ以前は、一般的に手の空いた人が家事を行っており、富裕層では女中・下男を雇う等、家事のアウトソーシングが伝統的に行われてきました。
やる気のない男性に期待するより、プロにお任せする方が確実にお部屋も気持ちもスッキリしますよ!